ツンデレ専務と恋人協定
「色気ねぇな」

そう言いながら、専務は声を出して笑ってる。


専務と一緒に暮らせる日がきたら、豪華な食事じゃなくてもこうして笑って食事が出来たらいいな。

ラーメンを食べ終わると、先に専務にお風呂に入ってもらい、その間に布団を敷いた。

そして、専務がお風呂から出てくると入れ代わるように自分もお風呂に入った。

お風呂から上がってくると、何故か専務は私のベッドで寝ている。


「専務、寝たんですか?」

声をかけながらベッドへと近づいて、専務の顔を覗き込むと、布団の中から腕が伸びてきて、専務に引っ張られそのまま専務の上へと倒れ込んだ。

この体勢に慌てて起き上がろうとするが、背中に手を回されていて起き上がれない。


「ちょっと、専務!」

「名前で呼べよ。色気ねぇな」

そんなこと言われたって、この体勢で色気なんか出せるわけがない。

ドキドキした心臓を抑えるだけで精一杯だよ。


「同棲するまで我慢するつもりだったのに」

専務は下から見上げ、私の左頬に手を当ててくる。


「もう待てねぇ」

そう言って、専務は私の後頭部に両手を回し、自分へと引き寄せてキスをしてきた。


テレビも何もつけていない部屋に、私たちのキスの甘い音だけが響いていた。



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