ツンデレ専務と恋人協定
「お店を閉めて、春樹の実家のお店を手伝うって条件なんだけど…」

「それじゃ…?」


お姉ちゃんも春樹さんも田舎に行っちゃうってことだよね。


「うん…。春樹と一緒に春樹の田舎に行こうって思ってる」


今でも一人暮らしだけど、すぐ近くにお姉ちゃんたちがいてくれてるっていうだけで心強かった。

それなのに、遠くへ行っちゃうんだ。


「お金なら大丈夫だよ!専務に話して月々少しずつだけどちゃんと返済してるし」

「栞奈、お金のことだけじゃないの。春樹のご両親も私たちがお店を手伝うことを心から願ってくれてる。私が栞奈と離れたくなくて、今まで我が儘を言っていたけど、栞奈にはもう専務さんがいるでしょ?」


春樹さんはひとりっ子だし、いつかは田舎に帰るのかって思ったこともあった。

だけど、それがこんなに早いだなんて思ってなかった。


「この間、専務さんと一緒に来てくれた時に、栞奈がトイレへ行ってる隙に少しだけ専務さんと話したの」


そんなこと知らなかった。
専務も何も言ってくれなかったから。


「栞奈は寂しがりやだけど我慢するところがあるからお願いしますって言ったら、寂しい思いも我慢もさせないから任せてくださいって言ってくれた。だから、専務さんなら栞奈を任せられるかなって思った」


専務がそんなことを言ってくれたんだ。

確かに専務は忙しくても私との時間を作ってくれようとするし、行動で私のことを思ってくれているのはいつも伝わってくる。


「もちろん、栞奈が反対するなら春樹の実家にはいかない」

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