ツンデレ専務と恋人協定
「ところで、デパートで何のお仕事ですか？」

「は？仕事？」

少し前を歩く専務が、斜め後ろを歩く私に向かって視線を向けてくる。

なんだか嫌な予感がする。

と言うか、初めから仕事かどうか疑っていたけど。


「デパートは買い物するとこだろ。お前はバカか」


専務の言葉に私のイライラメーターが上がっていくのを感じる。

デパートが買い物するところだってくらい知ってるよ。

だけど、今は仕事中なのに。

それに何で専務の買い物に付き合わされなきゃいけないの！

そう思っていたのに、専務が足を止めたお店はレディースのお店だった。


「いらっしゃいませ」

黒のスーツを来た女性の店員さんが早速私たちを出迎えた。


「こいつに合うの用意して」

「え？」


私に合うのってどういうこと？

頭の中にハテナを浮かべながら専務の顔を見た。


「そのダサい服、何とかしろ！」

「余計なお世話です！ダサくても何でもこれは初めてのボーナスで買ったものですから！」


ずっとリクルートスーツで仕事に行っていた私が初めて自分のご褒美で買ったものなのに！

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