ツンデレ専務と恋人協定
ここまで強引にされると、もうこれ以上は断れなくて私は常務の車に乗り込んだ。

常務もすぐに運転席へと戻り、私にハンカチを差し出してくる。

お礼を言いハンカチを受け取り、雨で濡れた服を拭いた。


「家、どこだっけ？」

私が答えると常務は車を発進させた。


「俺のことは知ってる？」

「はい、もちろんです」


ちょっと前にエレベーターの中で会ったときに専務から教えてもらった。

その時のエレベーターの中での印象があまりよくなかったから、かなり警戒してしまう。


「李人から聞いてるの？」

李人って専務のことだけど、そう言えばさっきも名前で呼んでたよね？

どうしてだろう？


「その顔は聞いてないね。李人と付き合ってるんだよね？」

「えっ？」


そうだった。
契約だけど、私は専務の彼女なんだった。


「付き合ってないの？」

「あ、付き合ってます。一応」

「一応ってなにそれ？李人が聞いたら悲しむよ」

常務はそう言いながら、私をチラッとみて笑った。

別に悲んだりはしないと思うけど、契約ってことが周囲にバレるような態度を取ったと知ったら怒るだろうな。


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