ツンデレ専務と恋人協定
「栞奈、お前パスポートもってるか?」
「持ってないです」
海外へ行く機会なんて全くなかったし持ってるわけがない。
「お前、ほんと役に立たねぇな」
「………」
専務の一言が私の心にグサリと突き刺さった。
役に立たないって自分でもわかってた。
だからそのせいで主任まで専務の専属秘書になって、専務に言われなくても自分が一番理解してる。
だけど、専務にはっきり言われるのは辛すぎたみたい。
こんなことくらいで泣くなんて嫌なのに、目に滲む涙を押さえることができない。
「来週、中国に出張にいくのに今から取っても間に合わねぇな」
専務は泣いている私には気づかず、私に背中を見せたまま話している。
「今回は宮尾さんと行くけど、早急にパスポート取っておけよ」
「………」
「おい、聞いてんのか?」
泣いていることを知られたくなくて返事ができずにいた私に向かって、専務は振り返ってしまった。
「……栞奈?」
せめて泣き顔を見せたくなくて俯いた私の頭の上から専務の細い声が聞こえてきた。
「持ってないです」
海外へ行く機会なんて全くなかったし持ってるわけがない。
「お前、ほんと役に立たねぇな」
「………」
専務の一言が私の心にグサリと突き刺さった。
役に立たないって自分でもわかってた。
だからそのせいで主任まで専務の専属秘書になって、専務に言われなくても自分が一番理解してる。
だけど、専務にはっきり言われるのは辛すぎたみたい。
こんなことくらいで泣くなんて嫌なのに、目に滲む涙を押さえることができない。
「来週、中国に出張にいくのに今から取っても間に合わねぇな」
専務は泣いている私には気づかず、私に背中を見せたまま話している。
「今回は宮尾さんと行くけど、早急にパスポート取っておけよ」
「………」
「おい、聞いてんのか?」
泣いていることを知られたくなくて返事ができずにいた私に向かって、専務は振り返ってしまった。
「……栞奈?」
せめて泣き顔を見せたくなくて俯いた私の頭の上から専務の細い声が聞こえてきた。