ツンデレ専務と恋人協定
「なんで泣いたんだよ」


専務はソファーから私へと視線を向け聞いてきた。

だけど、何だか落ち着いてしまうと言いにくい。


「ちゃんと教えろよ」


命令口調なのに弱々しくも聞こえる専務の声はいつもと違っていた。


「……専務が」


言いにくいけど、専務がいつもと違って真面目に聞いてくるから真剣に答えないといけないと思った。

嘘や誤魔化しや、ましてや逃げるなんてできない。


「俺が？」

「私が役に立たないってはっきり言うから」


私が言い終わると、専務は腕を伸ばして私を引き寄せ座ったまま抱きしめてきた。

こんなことを言っても“本当のことだ”とか言うかと思ったのに。


「二度と言わねぇ」


専務はそう言うと、私にまわしている腕で優しく背中をさすってる。

その動きがあまりにも優しくて、一言も謝られていないのに謝られている気分になった。


「だからお前も二度と泣くな」


そんなことを言われても、泣きたくなくても泣いてしまうこともあるから約束はできないのに頷いてしまった。


「俺、お前に泣かれるたら寿命が縮んじまう」


絶対そんなことないってわかってるけど、ちょっと嬉しい。



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