ツンデレ専務と恋人協定
「タクシー呼んでやるからそれで帰れ」


専務はそう言いフロントに電話をかけ、タクシーと割れたグラスを片付けてくれるように頼んだ。

さっきまでは帰ろうとする私を引き止めてたのに、今度は帰れって…。


「タクシーすぐくるから下で待ってろ」

「はい」


キスなんかしてきたくせに、専務がいきなり冷たくなったように感じた。


「それじゃ、おやすみなさい」

「ああ、気をつけて帰れよ」

「はい」


私はホテルの部屋を出て、タクシーで家まで帰ってきた。

家についてすぐ専務からの着信が入った。


「もしもし」

『無事ついたか?』

「はい、今ついたとこです」

『そうか、じゃあな』


専務はそれだけで電話を切ってしまった。

きっと無事に帰ったか心配してかけてきてくれたんだろうけど、不器用すぎる。

だからさっきあんな風に帰したのは、もしかして照れ隠しか何かだったのかもしれない。

そう思うと、冷たく感じたことも気にならなくなった。



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