ツンデレ専務と恋人協定
戸惑ってしまって困っていると、扉をノックして秘書の方が珈琲をもってきてくれた。

私はそれにちょっと助けられて、珈琲を飲んで落ち着いた。


「李人には悪い噂があってね」

「悪い噂ですか?」


いったい何の噂だろう?

専務はもともと何にも専務とか、モンスターとか言われているから悪い噂のひとつやふたつはありそうだけど。


「李人が自分の秘書に性接待をさせるって噂」

「え?」


性接待?
もちろん、私はそんなことさせられたこともさせようとされたこともない。


「そんなのデタラメです!」


専務がそんなことする人には思えない。


「俺もそう思いたいけど、実際に前の専務の専属秘書の子は突然やめたし。俺は栞奈さんが心配なんだ。李人が本気で付き合ってるならいいんだけど、もしかしたら栞奈さんのことを利用しようとしてるんじゃないかって」


専務が私を利用する?
確かに、私たちの間には契約があって、お互い持ちつ持たれつの関係だとは思うけど。


「いきなりこんな話をしてごめんね。でも、俺の秘書になるって話はちゃんと考えてみて。俺は栞奈さんを守りたいんだ」



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