ツンデレ専務と恋人協定
頭の中が真っ白になった。

考えてみれば私は専務の過去のことは何もしらない。

常務との話が終わり、私は秘書課に戻った。

戻っても常務に聞かされた噂話を考えてしまって、もう頭の中がぐちゃぐちゃだ。

私の知っている専務はそんなことするような人じゃない。

ちょっと我が儘で強引だけど、思いやりもあって優しいところもある。



「栞奈、またボーッとしてどうした?」


社食でランチを食べていると、また大和に声をかけられた。


大和は何年も前からこの会社で働いているから、もしかしたら何か知っているかもしれない。


「大和、あのね、専務のことなんだけど」


私は周りに人がいないか確認してから小さな声で話を続けた。


「私の前の秘書って知ってる?」

「まあ、一応」

「どんな人だった?」

「どうしても聞きたいの?」


私は首を縦に振って頷いた。

大和は話しにくい話なのか、ちょっと困った顔をして話出した。


「専務と付き合っていて、婚約してるって噂があった。実際のところはしらないけど」


え?付き合ってたの?



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