ツンデレ専務と恋人協定
専務の車に乗ると、袋を渡された。


「なんですか?これ」

「土産だろうが」

「ありがとうございます」


私は中身を見ると、ブランド品の化粧品が入っていた。


「これを届けるために会社に戻られたんですか?」

「俺がいなくてもちゃんと仕事してるか見にきた」


サボらせた人が何を言ってるんだか。


「だけど、秘書課でこきつかわれてたみてぇだな」

「別にこきつかわれてないですよ!疲れてるのは別の件のせいです」

「別の件?」


つい勢いで言ってしまったけど、あの噂話で悩まされていたなんて言えない。


「な、何でもないです」


専務はちょっとだけ私の顔を見てきたけど、何も聞かずに前を向いて運転をしている。

はっきり聞ければどれだけ楽だろう。


「あ、専務、今日はここでおります」


家近くの交差点の赤信号で止まり、私はそう言った。


「疲れてんだろ?マンションの前までいく」

「いえ、今日はスーパー寄って帰るんで」


冷蔵庫の中もほとんど何も入っていないし、お米とかいろいろ買わなきゃいけないものがあった。


「スーパー?俺も行く」

「え?」


専務がスーパー?
デパートなら似合うけど、スーパーなんて似合わないよ。


< 89 / 232 >

この作品をシェア

pagetop