夢幻泡影
お千が提案した

「明日の朝餉は皆と食べよう!一口でええ。あんさんが食べたら、皆さんが喜ぶ!」


『どうして?』


首を傾げる瑛に


「明日になったらわかるよ!」






翌朝



ふらふらとお千に支えてもらいながら、幹部が食事する部屋へ


座った瑛の前には、お粥が入ったお茶碗


「一口頑張り!!」


お千が耳打ちする

頷いておさじを手に取る

瑛がおさじをお粥に刺した途端お粥が赤くなる

パッと手をはなす


「お千、そいつ猫舌だ!」

土方の言葉にお千が

「いいえー。熱いもんをふーふーせんと味見してたわ!」


『どうしよう……お粥が汚れた……』


お千がお粥をおさじに乗せ、瑛の前に出す


「ほれ!」


『お粥が元に戻った!!!』


「ジロジロ見ても腹ふとらん!食べ!」


パク!!


瑛がお粥を口にした


幹部たちが一斉に喜びの声をあげる


「ほらね!」


『お千さんの言った通り!
皆さんが喜んでくれてる!!!』


近藤がダダダっと瑛の前に座り、お粥をおさじにとり、瑛の前に出す


『んーーもういらないけど……』


パク


「おーー!!いい子だ!!」


『どうして、こんなに喜んでくれてるの?』

近藤は涙を流して喜ぶ

瑛は、泣かせてしまったと困った


困った末に


膝立ちして、近藤の頭を撫でた


『子供の頃泣いてたら、父上は必ずこうしてくれた!泣かないで、近藤さん!』



「ぷっ!これじゃどちらが子供かわかりませんね!」


山南の言葉に皆が笑う

瑛は首を傾げる

近藤が瑛を抱きかかえ、膝に乗せる


「もっと食べれるようになったら、嬉しいな!」

と近藤が言っているのに、瑛は近藤の手をとり指を曲げる

そして、その横で両手を並べる

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