夢幻泡影
瑛が目覚めたのは、翌日のことだった

『天井の気配が何処かへ行った』

布団から半身を起こした

自由になった両手を見た

次に布団を見た…

男物であるが、寝間着を着ていることも確認した

半年ぶりの出来事だった…


「入るぞ。」


『この声…土方と呼ばれてた人』


スー 襖が開いた


『やっぱり…』


「具合はどうだ?」


『具合が良くなったら、売るんだな。』


瑛は何の反応もしない

土方が瑛の頭を撫でる


『何?』


わからないが、嫌ではなかった…

「話せるか?」

「字は書けるか?」

「名前は?」




どんな言葉にも反応しない瑛に土方が


「ちょっと待ってろ?」








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