夢幻泡影

ひと仕事終えて、土方にお茶を持って行こうと部屋の前まできた

「いや！？あかん！！」

『山崎さん…？』

「お前しかいない！」

「副長！！」



『どうしよう。入りにくい。…後にしよう』

瑛がお茶を持って、炊事場へ行こうと向きを変えたとたん


「てーるーー！！！」


沖田に呼ばれた


『どうしよう…』


困った


「瑛？」


襖が開いた


「お前いつからいた？」

土方の言葉にゾクリとしながら

「あの…お茶をと思って…あかんとか、お前しかいない…の当たりで…その…お邪魔かなって」


「ひっ土方さん！！」


沖田が青くなる


眉間にすっごい皺寄せて…



「チッ！！変な勘違いすんじゃねぇ！！」


顴骨をくらう沖田。
ペチッと額を叩かれる瑛。


「入れ。」


沖田と瑛が

部屋に入って山崎をちらっと見て

ホッとする

「まだ、心配しとったんかい！！」


着物が乱れていないのを確認したのだ


「ちょっと情報をとりに、山崎を島原へ入れようと思ってな。」


「裏方ならと言ったら、副長が表で客を相手にていうからやな…あかんって」


「新選組で女装してボロがでねぇのは山崎くらいだ！お前しかいないって、わけだ！」


「ふーーん。」

面白くなさそうな沖田


「えーと？山崎さん？女装するの？」

「そうだよ！」


時々、女装することを沖田は知ってる

初耳の瑛は


「みたーーい！！」


目をキラキラと光らせた


「ほな、わいと一緒にいくか？」

「え？」「はぁ？」「へ？」

瑛 土方 沖田 の声が重なる


「冗談や。」




土方から、顴骨を貰ったのは言うまでもない