夢幻泡影
男に苦手意識のある瑛にとって

ただ客と話をするのも大変だった

それでも、話をし笑っているだけで

客が喜ぶ

『琴里のお客様は皆いい人ね!』

少し、緊張も解けた

客が入れ替わり



琴里の指示で、お酒を取りに行く


「あんさんも、お酌しなはれ」

「へえ。お酌さしてもらいます」


長州と関わりがありそうだと琴里が判断した客は、瑛も同席する

四人の浪士がいた


「お主、名は何と申す?」

「へえ。琴美いいます。よろしゅうに」


言葉使いに気をつけてゆっくり喋る


「十二くらいか?」

「へえ」


『複雑……』


酒も進み浪士達が


「狼が近頃幅をきかせ、目障りだ」

「ああ。早めに退治せねばならん」


「狼がでるんどすか?」


瑛がきく


「はっはっは!うろうろ出回るぞ!」


「狼って退治できますのん?噛まれたら、えらいことですやろ?」


「罠だよ!罠を仕掛けるのだ!」


「頼もしいどす!」


「そうか!?」


しれっと瑛を抱きよせ、首に口づけをする


「あら!琴美はまだ新造どす!あきまへんえ!」


「おお。すまんすまん。忘れておった!」


『た…助かった……』


「琴美、涼里とかわり」

「へえ。」


瑛は部屋を出て、涼里こと山崎と替わる


永倉と斉藤の待機する部屋へ入ると


座り込む


「大丈夫か?なんかされたのか?」


「平気… 」


永倉と斉藤が瑛を抱きしめる


『二人に触られても大丈夫なんだけどな…』



先ほどの浪士達の会話と山崎と交代したことを伝えた

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