夢幻泡影
瑛が再び目覚めたのは

夜だった…

『また…天井の人が何処かへ行った。土方さんを呼びに行くんだろうな。』




「入るぞ!」

『やっぱり…』


土方が瑛をじーーーっと見る

瑛は、土方が刀を持っていないことに視線を落とす


「もう大丈夫だ!!死ぬことを考えなくて良い!」


土方は、瑛が死のうとするから、刀を置いてきた


優しく瑛を抱きしめる


瑛は抵抗もせず抱きしめられていた



さっき目覚めたばかりなのに、土方の腕の中でまた眠りについた







翌朝






近藤が、瑛の体を後ろから支えお粥をふーふーと、冷ます

布団の横で山南が新選組について語った

瑛は、人形のように動きもせず聞いていた

話が終わると


「はい、あーんしてごらん」


近藤が冷ましたお粥を瑛の口もとに運ぶが

まったく反応がない

ただ瞬きをしていた


「近藤さん、僕の手に下さい」


山南の手におさじの中身を渡す


「あちちっ! こっちを見てごらん!」


山南が手に乗せたお粥を食べる


「うん!おいしい!さぁ!お食べ!」


近藤がふーふーして、お粥を運ぶが口を開けない


「食べないと…ね?」


しばらく近藤と山南が格闘するが


反応がないため、諦め二人は部屋を出る




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