夢幻泡影
「チユリなんだろ」
瑛の心臓が ドクリッと音を鳴らす
『どうして、土方さんが知ってるの?』
「なぜ、幕府を裏切った?」
『あたしより、春嶽を信じるの?』
「瑛、答えろ!」
『言えば信じてくれるの?』
「瑛!!」
『土方さんがあたしを抱いたのは、チユリだからかもしれない』
「…かわらない」
小さな声で瑛が言った
「ん?」
『あいつらとおなじ。
土方さんは、チユリとしっていたから…
あたしを…
信じられない
信じられない』
「瑛、ちゃんと言ってくれ」
「信じてたのに…」
「瑛?」
「言わなければ、拷問でもする?」
瑛は土方へ殺気だった目を向ける
藤「瑛!落ち着け!変なこと言うなよ!」
近「拷問なんてしない!俺がさせない!
瑛、ちゃんと話をしておくれ!
俺は瑛を信じる!」
『捨てられるのにわざわざ言わない
近藤さんにまで、信じてもらえなかったら…あたし』
近「瑛!!俺の目を見てごらん!」
瑛が近藤を見た
不思議と少し心が落ち着いたのは、父に似ているからだろう
瑛が口を開こうとしたが
開かなかった
「・・」
〝あー〟
声も出なかった
『また…』
左手で喉を触る
『言っても信じてもらえない
あたしの声は意味ないんだ』