夢幻泡影
松平 春嶽に拝謁かなった近藤 土方

「俺も行こうと思っていた。
丁度よかった。瑛は逃げていないと言ったなと後で思い返した。
となれば…誰の元に行ったのか気になってな。」


「吉田 稔麿です」


「……なんと!?」


「酷い仕打ちにあっていた所、偶然にも新選組が助け女中として置いておりました」

「俺が売ったのは、孝明天皇だ」


「「 !!!! 」」


「やはり、逃げた訳ではなかったのだな」


「松平様、〝チユリ〟とは?」


「聞こえていたか…

治癒人と書く、瑛の血は怪我も病も治せる。

血売人〝チウリ〟という血を売ることで生活する者の純血が母、父は普通の人

瑛には兄弟がいたが、治癒人の力を継いだのは、瑛だけだった

瑛の力は、使い方によっては毒となる

だから、瑛は誰にも使い方を言わない

両親や兄弟を殺され、八つだった瑛を

俺が育てた。

瑛を俺の元に返してもらえないか?

瑛の血を欲しがる奴から、守る為孝明天皇の元に瑛を置いておきたい」


「申し訳ありません
昨日、誤解が重なり飛び出したきりです」


「居所が分からぬと?」


「はい…」


「松平様…なぜ金銭を?」


「瑛の手前、売ると言ったが金など貰っておらぬ」


「吉田は買ったと言っていたようです」


「瑛の素性を知り、長州に売った奴がいるのかも……」


「瑛は血売り、買った者に従う
従いたくなければ、吉田を手にかけようとするだろう。長州のまわりを調べてくれ
瑛を取り戻してくれ!」
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