夢幻泡影
土方が部屋から出て行った後も布団から出れなかった

天井からの監視があるから







「入るぞーー。」


三人の男がお粥を手に入る


「布団はぐぞー?」

『この声は永倉さん。』

「よっ!!俺は永倉だ!!」

『押しの強い人…』


瑛は布団をはがされ、後ろから半身起こされている


「はじめまして!俺、藤堂 平助!平助って呼んでくれ!」

「俺が原田 左之助だ!!」

『三人とも押し強いな。』

「よし!!食え!!」


『近藤さん、山南さんとは大違いだ。』


「何も食べてないだろ?一生懸命作ったんだ!食べれるだけでいいから! な!?」


『藤堂さんが作ってくれたのか』


「よーし!特別だ!俺がふーふーしてやろう!」

「やめろ!!左之にふーふーされたら馬鹿が移る!」

「大丈夫!ふーふーで馬鹿は移らない!」

「ダメだよ!移ったらいやだ!」

「平助!お前こそ!お粥に馬鹿の素は入れてないだろうな?」

「ふーふーしなくても、冷めてんじゃねぇ?」


「あっ!!新八に触られている方が馬鹿が移りそうだ!!」

「…んだと?ごら!!」



『あー。三人とも馬鹿なのか。とりあえず、食べずにすみそうだ。』


「何騒いでるの?」


『!!この人あのときの…』


「こんにちは!私は、沖田 総司です。
うるさくて、食事どころではないですね?」


『沖田さんか…』


「はい!あーん!」


布団の上に乗り、瑛の目の前からおさじを口へ運ぶ

誰とも視線を合わせなかった瑛だが

綺麗な顔で覗き込まれ、無表情で思わず魅入った



『女みたい。』


もちろん口は開けなかった


「ん?あけて? この三人の馬鹿が移るよりましでしょ?」


「総司…」


「あーーんして?ね?あーーぁんぐっ!」


『それ!!』


沖田があーんと口を開けていたから、おさじを沖田に向け、口に押し込んだ。


「んんん !! しょっぱーーーい!!!」









『お気の毒。食べなくてよかった。』





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