夢幻泡影
しばらく歩くと、前方から浅葱色の集団が
『新選組…』
「下を向いて」
圭尚に言われた通り俯く
「そこの僧侶さんたち?
お顔を拝見させていただけませんか?」
『沖田さんだ。』
「なぜ顔を?」
圭尚が俯いたまま聞く
「うーん。なんとなくです!」
「ははは。なんとなくですか」
圭尚が顔を上げる
「よろしいですか?」
「こちらの方も」
瑛に視線送る
『沖田さん…鋭い』
「サエイ」
瑛が顔を上げる
「お怪我ですか?」
瑛は、顔を隠すために、所々血がついた包帯を巻いている
すぐに下を向いた
「火事でね、火傷です」
「そうですか、サエイさんは男性ですか?」
「もちろんです!」
沖田の手を取り、瑛の胸に手を当てる
「そのようですね!失礼しました!
知人に似ていたもので… 」
『サラシ巻いててよかった… 』
沖田が一礼して去って行く
「多分、バレたね」
「え??」
「勘のいい人だ。」
「どういうこと?」
「こんな町中で、僧侶が女などと分かれば、騒ぎになる
わざと彼に女だと分かるように、触らせたんだ!口封じの意味をこめてね!
わざわざ〝知人に似ていた〟なんて、言って行くんだ〝瑛〟だと気づいただろう」
「そ… そう」