夢幻泡影
二人が縄に縛られ目が覚めた時には

蔵の中だった

「圭尚、ごめんなさい…油断した」

「ははっ俺も!しかし、覚悟の上だよ」

瑛が辺りを見渡す

「圭尚だけなら、逃げられる」

ギリギリギリギリ

「ペッ」

「瑛、俺も残る!瑛を守る!」

ギリギリギリギリ


縄を噛み解く


「圭尚、逃げて…あたしは吉田と戦う
吉田は契約違反してるし」

「契約違反?」

「言ってなかったよね…
長州の奴らに強姦されてね…
子供できたの
暴力受けてるうちに流れてね」

圭尚は、紗瑛を買う時に契約したことを思い出した

〝一、治癒人を守る
一、 治癒人の命を削ってはいけない
一、 契約なしに、他者へ使わせない〟

たった三つの契約をすべて破っている

だから、反逆してもいい

「娘に人殺しはさせられない!!」

自由になった両手で、瑛の肩を掴む

「今縄を解くから!!」

「圭尚、人は殺さないよ?」ニコッ

「そこ、踏み台にしてあそこからでて!
遠くに逃げて!圭尚、ありがとう!」

瑛を縛っている縄はかなり何十にも解けないようにしてあった

瑛にいわれたようにして、外に出る

逃げる為ではなく、助けを呼ぶため



圭尚は走った


間者がどうのこうの頭から離れていた


『瑛を助けなければ!!』

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