夢幻泡影
圭尚が新選組に着いた頃

朝の巡察へ向かう沖田が門にいた


「あの!! あっ!!」


心の中で早く、早くと焦るが
沖田の隊に間者がいると思い出した


「土方様にお取り次ぎをお願いします」


「はい。どうぞ、こちらに…
あっ全員ここで待機、動かないでね!」


沖田が隊士にニヤリと口角を上げる

それを見て、圭尚がゾッとした



沖田により、土方の部屋に通された

「あ!石田さん!?」

「ああ!山内さん!?」

「お知り合いですか?」

「ああ。行商の時のな!山内さん!
俺は石田散薬売っていた土方歳三だ!」

「てっきり石田さんかと…」

「それより、要件は?」

「そうでした!!瑛と捕まりまして、助けを求めて逃げて参りました!!
沖田さんと永倉さんの隊に間者がいるようです!!どうか、お力を!!」

「もとより、そのつもりですよ! ね?」

「ああ。だが、目立って動くわけにゃいかねぇ
お前は普段通り、巡察にいけ」

「はぁーい」

沖田が部屋を出る

「山崎!近藤さん、山南さん、斎藤、藤堂、永倉を呼んでくれ」

「承知!」

「便利ですねえ」

「まあな」

天井を見上げ圭尚が言った

「しかし、君が瑛のねぇ。縁とは不思議なものだ」

「俺だって驚いたさ!
瑛の母親を買った人が、山内さんだとは」

「紗瑛が残した宝物、なんとしても守りたい!これも導きだ!!」


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