夢幻泡影
蔵の外に出ると

吉田に対して反旗を翻す者達が

抜刀し、切っ先を吉田と瑛に向けていた

「やはり……そういうことか…だから
瑛に酷い仕打ちを…お前ら、それなりの
覚悟があるのだな?」

吉田も刀を抜く

必死に状況を読む

「瑛?動けるかい?」 頷く

吉田は屋敷内へ、瑛は庭で応戦する

痛む体で思うように動けず

瑛の体のあちこちに小傷ができる

倒れ込む瑛の耳に


「新選組だ!神妙に致せ!!
手向かえば斬り捨てる!!」


土方の声だ


瑛は意識を手放した


「瑛!!てめぇら!!何てこと!!」

「は?この女は、こいつらをやったんだぞ?」

土方が辺りをみると、たくさんの男が倒れていた

「倒れているだけだろ?」

土方が冷静に言う


瑛の髪を掴み顔を土方に見せる

「ククク。この女がそんなに欲しいか?」

桶の水を瑛にかける

「この女の血は、死に至らしめる」

瑛の首筋に口づけし、跡を残す

そのまま瑛の胸元に手を入れる

「やめろ……」

土方が低く唸る

バターン!!ザシュ!!

屋敷内から、吉田が現れ瑛に手を出そうとしていた奴を斬り捨てる

懐紙で刀を拭き取り、土方を睨む

「新選組か……
瑛が世話になったそうだね… 」

瑛を肩に担ぐ

「お前が、吉田 稔麿か?」

「そうですが?あなたは?」

「新選組 副長 土方 歳三だ!」

「近いうちに、また会えるでしょう
瑛は連れて行くから…」

土方にニッコリと笑顔見せて、

ひょいひょい跳んで

いなくなる





「近いうち、また……か…」





< 80 / 98 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop