【完】千鳥の舞う花火。
千鳥の目から、一筋の雫が頬を伝って流れていく……。
「千鳥……。」
そんなに涙目で、花火が見えるのか。
そう聞きたい程に、千鳥の目からは雫がポロポロと零れ落ちていく。
「すば、る……。」
「……約束、だからな。」
小さく小刻みに震える千鳥の体を優しく、だけど離さないように強く抱きしめ。
いつの間にか千鳥は車椅子の上じゃなく、俺の膝上にいた。
体全体で感じる、千鳥の体温。
生きているという証。
今、この瞬間、
千鳥がこの場所で呼吸をしているという
紛れも無い、証。