【完】千鳥の舞う花火。
次は正利さん。
「……もっと、家族で過ごす時間を作れば良かったと思っている。」
「お父さんは確かに仕事人間だったかもしれないけど……。あたしの誕生日の日は、仕事を早くに切り上げて、帰って来てくれて。クリスマスには毎年、あたしの欲しいものをくれたよ。」
「…………失いかけて、漸く気づくんだな……。命は有限だということ、私は長年忘れていた……。……千鳥、お前は私の、世界でただ一人の娘……自慢の娘だ。」
「お父さん……。……有難う、お父さん。あたしにとってお父さんも、世界でただ一人のお父さんだよ。……親不孝な娘で、ごめんなさい……。」
真耶さんと正利さんは順に、再び車椅子へと戻った我が子を。
それはもう愛おしそうに。
家族みんなが涙を流して、抱きしめ合った。