【完】千鳥の舞う花火。
みんな、全員。
打ち上がる花火の中、涙を流していた。
空に広がる火の灯が、俺達の頬を濡らす雫を照らし出す。
「あぁ、どうしよう……あたし今、世界一の幸せかも……。」
打ち上がった赤の花火を見て、千鳥がふと呟いた。
全員と話し終わった千鳥は、ソッと車椅子から立ち上がる。
おぼつく足取りだけれど、千鳥はしっかりと足の裏を地面につけて。
今いるその場を、踏み締めていた。
「……生きるって、いいなぁ……。」
花火も終わりに近付く。
立ち込める、火薬のにおい。
辺りに広がる、花火の煙。
「昴。」
「あたし……たった十八年だけど、この世界を生きられて良かったよ。」
振り返った千鳥の笑顔は、誰よりも綺麗で。
誰よりも儚くて。
なのに誰よりも、生き様のある笑顔。