【完】千鳥の舞う花火。
「愛している。」
今にでも、その場に倒れそうな彼女に。
その場から消えてしまいそうな彼女に。
言えたことは、そんな言葉だった。
「この世で一番、千鳥を、愛している。」
「あたしもね、昴を愛してるよ。」
「だから……――。」
――それから、呆気なくも花火は終わった。
俺達と、大人も含めた十人の中、泣いていないものはいなかった。
みんな、目から大量の涙を流して。
再び暗黒に包まれた空と、静寂に包まれた空気を。
ただジッと、見つめていた……。
『だから……――
これから先、あたしよりも
愛おしいと思う人が現れたときは、
あたし以上にその人を、精一杯、
全身全霊をかけて愛してあげて。』