【完】千鳥の舞う花火。
そう言った真耶さんの顔が深刻で、俺は気づかぬ内に頷いていた。
「それじゃあ、お父さんに許可を貰って来るわね。昴くんはそこで少し待っておいて。」
「分かりました。」
真耶さんが俺の家の方へと向かって行って、俺はその姿を目で追いかける。
見れば見るほど、アイツとそっくりな後ろ姿。
アイツは今、どんな姿になっているんだろうか。
昔から美人でモテていたんだし、きっと彼氏はいるんだろう。
そもそも、五年間ずっとアイツを想っていた俺は重症だ。
決して特別と言えるほど仲が良かったわけじゃない。
二人きりで遊んだのは一度だけ。
夏の最後に開かれた花火大会のときだけだ。