【完】千鳥の舞う花火。








そう……俺はアイツが好きだと自覚してたけど。



でもその時、俺はもう引っ越しが決まっていたから……。





アイツと、一つの約束を交わしたんだ。





「……今年もあの花火大会、あんのかな。」





夏休み最終日、八月三十一日の花火大会。





せっかくこっちに戻って来たんだ。



歓迎として、今年は綺麗な一発を目にしたい。





……なんて考えていたら、真耶さんが戻って来た。



親指と人差し指でOKのマーク。





「着いて来て。」





アイツは今、元気なのか。


真耶さんのその目は、いつも泣いているからなのか。



聞きたいことは沢山あるのに、何となく、話かけてはいけない気がして、話かけられなかった。








< 15 / 121 >

この作品をシェア

pagetop