【完】千鳥の舞う花火。
そう……俺はアイツが好きだと自覚してたけど。
でもその時、俺はもう引っ越しが決まっていたから……。
アイツと、一つの約束を交わしたんだ。
「……今年もあの花火大会、あんのかな。」
夏休み最終日、八月三十一日の花火大会。
せっかくこっちに戻って来たんだ。
歓迎として、今年は綺麗な一発を目にしたい。
……なんて考えていたら、真耶さんが戻って来た。
親指と人差し指でOKのマーク。
「着いて来て。」
アイツは今、元気なのか。
真耶さんのその目は、いつも泣いているからなのか。
聞きたいことは沢山あるのに、何となく、話かけてはいけない気がして、話かけられなかった。