【完】千鳥の舞う花火。
「失礼、します。」
声が震えた気がする。
恐る恐る、横開きの扉を開けた。
ガララララ
目に光が差し込んでくる。
眩しい光。
光の先は窓の向こうから。
「……うそ、昴……?」
俺を見て驚いたのは、やっぱりアイツだった。
病室のベッドに体を寝転ばす、俺の初恋の相手。
佐倉千鳥(さくら ちどり)。
五年前より幾分と大人びた雰囲気を持つ、千鳥だ。
「どうして、昴がここに……。」
「……戻って来たんだ、今日。また父さんの仕事の都合で。」
「そう、なんだ……。」
五年ぶりの再会。
まさか、再会場所が病院だなんてな……。