【完】千鳥の舞う花火。
事がいきなり過ぎるからか、
千鳥が笑顔で言うからか。
……俺は、何も言えなかった。
「……そうか。」
言えたのはそれだけ。
病室の外で、真耶さんが泣いていた。
目が赤くなって腫れていたのも、これが理由だったんだろうな。
ふと頬が濡れている気がした。
自分の頬に触れれば、手に何かがつく。
少し温かい。
泣いているのは、真耶さんだけじゃなかった。
「……千鳥が何したって言うんだよ……。」
もしこれが運命なら、俺は運命を呪う。
もしこれが神様の仕業なら、俺は神様を恨む。
なぁ、千鳥……。
今のお前に、俺は何が出来る……?