【完】千鳥の舞う花火。
否定すればまた煩くなるとみて、敢えて何も言わず黙った。
「昴くん、明くんの言う通りだよ。連絡、絶対ちょうだいね。」
泣いてはいなくとも目を潤ませているのは、七原百合(ななはら ゆり)。
俺達仲間の一人で、学校のマドンナ的存在。
百合が俺に気があるのは知っている。
もしこの引っ越しが無ければ、俺は百合と付き合っていたかも知れない。
「分かってるよ。必ず連絡する。」
窓の外に手を伸ばして、百合の頭を撫でた。
それを見た周りの奴らは囃し立てる。
さっきまで号泣していた明までもが。
「お前らうっせーよ!」
百合の顔は真っ赤になっていた。