【完】千鳥の舞う花火。
帰りのバスの中、
千鳥は遊び疲れて眠っていた。
空はまだ明るいけど、ほんのり夕日が顔を出し始めている。
空は朱色と言うより、橙色と言うより、山吹色。
ここからきっと、橙色や朱色に変わっていく。
それが俺達の日常で、当たり前の風景。
千鳥は一体、あとどれだけ、その“日常”を目にすることが出来るのだろうか。
「ど……して、……たし、なの……?」
千鳥が呟いた。
「あた、し……まだ、……いき、たい……のに。」
俺の肩に頭を預けて呟かれる寝言。
千鳥は涙を流しながら、ずっと“本音”を零し続けた。
……何も出来ない、無力な自分が歯痒い。