【完】千鳥の舞う花火。
最後の『早く会いたい』って言葉が目についたけど、見なかったことにした。
確かに引っ越しが無くて、千鳥と再会することもなければ、俺は百合と付き合っていたかも知れない。
でも千鳥と再会してしまった今、百合の気持ちには応えられない。
「俺、下まで迎えに行って来るわ。病室とか、わかんねえだろうし。」
携帯を閉じて、固まる俺を不思議そうに見ていた千鳥にそう告げた。
「わかったー。いってらっしゃい、昴。」
千鳥は何気ない笑顔でそう言って、俺を送り出した。
その笑顔を見て、この五年間、俺が抱いていた想いは間違いじゃなかったことを確信する。
俺は、千鳥が好きだ。