【完】千鳥の舞う花火。
「あっ、昴ー!!」
病室を出て下に向かえば、丁度明達がバスから降りてきた。
バスは病院の前まで走ってくれるから、患者にも優しいし俺達にとっても好都合だったりする。
「す、昴くん……久しぶり。」
最後にバスから降りてきた百合。
いつもは腰までストレートな焦げ茶の髪を、今日は緩く巻いている。
ほんの少し、化粧もしているようだった。
「あぁ、百合。久々。」
正直、やっぱり百合は可愛いと思う。
だけど百合の可愛い姿を見ても、俺が好きなのは千鳥で。
それを自覚した今、百合に期待させるようなことはしない。
会えば必ずしていた、百合の頭を撫でるという少しタラシな行為も、今回はしなかった。