【完】千鳥の舞う花火。
きっと今ので、百合も俺の異変に気づいただろうな。
百合からの視線には振り向かずに、先行く明達を追った。
「昴。こんなに大勢で会いに行って、佐倉さんは困らないか?」
明と一緒に先頭を歩いていた隼人が言う。
ラフな服装に黒縁眼鏡をかけていて、相変わらずのインテリ格好。
髪なんて染めてなくて、一見地味に見える隼人だけど、隼人は結構モテる。
きっとその理由は、生まれ持った顔立ちと、気配りなどが出来る紳士な性格のせい。
狙っているとかじゃなく素でやっているからこそ、隼人と付き合っている幸は妬いてばかりだ。
それに気づかない隼人も、影では鈍感や天然と呼ばれていたりする……。