【完】千鳥の舞う花火。
あと10日
side 佐倉千鳥
――最近、忘れてしまう時がある。
あたしの命は、限られたものだと言うことを。
「千鳥、今日の体調は?」
「ちょっとしんどいけど、こんなの平気! 少しの間横になっていたら、直ぐ治るよ。」
「そうか……。」
つい最近……と言っても、もう三週間が経つか。
中学一年生の時の同級生、昴が、あたしの住むこっちの町に戻って来た。
それからのあたしの毎日は、楽しいことや嬉しいことで埋められている。
普通の学生で、普通の毎日を過ごしているような気分になる。
……だけど違う。
あたしは病気で、もう治らない。
発見が遅くて、手に負えなくなってしまった。