【完】千鳥の舞う花火。
白い雲が浮かぶ、快晴の青空を見て思う。
あたしが死んでからも、この空はいつも通り規則的に動く。
雨が降って、雲が空を隠して、
雷を鳴らして、太陽が輝いて、
時には風が大地を浮かせて。
あたしが死んでも何も変わらないことが、何だか悲しくて、寂しい。
「ちょっと下の売店行って来るわ。」
昴がそう言って病室を出たのと同時に、あたしは口元に手を当て咳込んだ。
昴の前では平気を装ったけど、本当は今日は結構辛い。
当たり前だよね……。
……だって、あたしが生きられると医者に判断された日は、残り十日しか無いんだから。
残り、十日なんだから……。