【完】千鳥の舞う花火。
「千鳥……どうした?」
昴はあたしが持っていた来客用の椅子を、ソッと下ろさせる。
辺りには、割れた窓ガラスの破片が散らばっていた。
「昴……。」
それを見てやっと、あたしは自分がしたことに気づく。
いつの間にか精神が不安定になって、椅子で窓を割ってしまったんだ。
「ど、どうしよ……すばる……っ。」
「……千鳥、大丈夫……大丈夫、だから。」
泣き出すあたしを、昴は五年前と同じように抱きしめてくれた。
頭に置かれた手は、今でも暖かい。
五年前も昴は、あたしが泣けば真っ先に駆け寄って来てくれて、こうやって慰めてくれたよね……。