【完】千鳥の舞う花火。








「確かに百合は可愛い。学校のマドンナだ、可愛くないはずがない。」




うっ……。


無意識なんだろうけど、爆弾でも落とされた気分……。





「だけど、俺が好きなのは千鳥だ。三年間、マドンナが隣にいても、好きなのはずっとお前だけだ。」





……爆弾、一瞬で鎮火。





大粒の雨が、あたしの中で降りまくる。



その雫はあたしの目から、次々へと零れて。





「ふぇ、っ……。」




「前向きで、元気で、約束を破らない……泣き虫な千鳥が好きだ。」





昴の腕の中で泣く。


大声を上げて泣くのは、久々だった。



余命を宣告された時も、泣かなかったのに。








< 60 / 121 >

この作品をシェア

pagetop