【完】千鳥の舞う花火。
「昴くん。」
その時を見計らってか、美嘉先生が病室に顔を出した。
「ちどちゃんのことで話がしたいんだけど……今、良い?」
「はい……。」
明達が不安そうな顔で俺を見るので、俺は微笑んだけど。
……内心は、誰よりも一番俺が怖がっていたと思う。
「直ぐ戻る。」
そう言った時の俺の拳は、誰が見ても分かるぐらいに震えていたから……。
――「……言いたいこと、分かる?」
連れて来られたのは、いつしか千鳥や百合達みんなで遊んだ中庭だった。
「……先生。」
「ちどちゃん、弱ってる。」
“弱ってる”
それはきっと、遠回しの忠告。