【完】千鳥の舞う花火。
「……千鳥の運命は、もうずっと前から決まってたの。」
真耶さんが言う。
「ちどちゃんに与えられた時間は、本当に少なかった。……だけど、昴くん達が傍にいたこの一ヶ月は、ちどちゃんにとって、とっても良いものだったと思うよ。」
美嘉先生が言う。
二人が俺を、励まそうとしてくれているのが分かる。
二人だって、俺と同じ……いや、それ以上。
悲しいはずなのに。
「昴くん……。これからも、千鳥をよろしくね……。」
真耶さんはそう言って、涙を流しながら病院の中へと、戻って行った。
それを追うかのように、美嘉先生も次の診察があるからと病院に戻り。
中庭には、俺一人となった。