【完】千鳥の舞う花火。
千鳥が好きだと自覚したのは、一体いつだっただろうか。
小学、何年生の時だっただろうか。
強いくせに泣き虫で、
弱いくせに男勝りで。
そんな千鳥が、誰よりも愛おしかった。
愛おしかったんだ。
『昴! あたし、花火見たい!』
『もうすぐ花火大会あるだろ。みんなで見に行こーぜ。』
他愛もない、あの日常が。
「すばるーー!!」
どれくらいそこにいたのかは分からないけど。
気づけば、病室の窓から体を乗り出した、目を覚ました様子の千鳥が、俺の方へと大きく手を振っていた。
そう言えば、千鳥のいる病室はここの真上だったな……。