【完】千鳥の舞う花火。
同じように、千鳥に手を振り返して。
何も知らない、千鳥の笑顔を見つめた。
「……嘘つき。」
俺は小さく呟く。
この笑顔も、きっと三日後にはもう見れない。
五日後の花火を見に行く約束も、もう守れない。
「すばるー?」
叫ぶ千鳥の声を聞くのも、きっと……もう、最後……。
「千鳥ちゃん、死んじゃうの?」
帰ってなかったのか。
いつの間にか、隣には百合がいた。
「……昴くんは、千鳥ちゃんが好きなんだね……。」
「……あぁ。」
「あたし、自惚れてたのかな……。昴くんに、好かれてると思ってた。」
百合の言葉が、俺の心臓をえぐるかのように突き刺さる。