【完】千鳥の舞う花火。
「……千鳥を、仲間と言ってくれるのか。」
「当たり前だよ。昴くんの、好きな人だもん。」
「そうか……。……ありがとう、百合。」
「……うん。」
最後そう頷いた百合の声が、少し曇っていて。
見てはいないけど、泣いているように感じた。
「昴くん……。」
「何だ?」
いつの間にか、千鳥の姿は見えなくなっていた。
「……あたしの仲間を、最後まで精一杯……愛してあげて。」
…………。
「……当たり前だろ。」
千鳥を想って流れる涙は、
相変わらず、終わりを知らなくて。
空を泳ぐ爽やかな夏風が、
零れる涙を、冷やしていた。