【完】千鳥の舞う花火。
あと02日
side 小野昴
八月二十八日、次の日。
暑い日差しに打たれる朝。
「……行って来る、母さん。」
千鳥に残された、短い時を肌で感じながら。
俺は今日も、家を出た。
「いってらっしゃい……昴。」
真耶さんから聞いたのか。
そう言って見送った母さんの声は、ほんの少し震えていて。
新聞に熱中するかのように、顔を新聞で隠していた父さんの目は、充血して見えた。
昨日の病院からの帰り道、百合を除いた隼人達に、千鳥のことを話せば。
全員が表情を曇らせ、目から透明の雫を零した。
みんながみんな、全員が、感じている。
迫り来る、命のタイムリミットを。