【完】千鳥の舞う花火。








だけど、思い出したのはそんなことではない。




「昴、こっちに戻って来てたんだなー。何年ぶりだ? 四年? 五年?」




肩を組んで来る篤司には悪いけど、俺はその場で携帯の画面を開き、直ぐ様メールを作成する。



宛先は隼人。


明でも百合でもなく隼人に送った理由は、明は重度の方向音痴であり。


百合にメール送るのは、少し気まずいと感じたから。




「五年ぶりに再会した親友放置して、メール? 誰宛?」




隠したわけじゃないが、肩越しに画面を覗き込んで来た篤司が見る前に、俺は携帯を閉じた。




そして直ぐ様、頭上にハテナを浮かべる篤司の肩に手を置き。



仲間みんなで築く、千鳥との最後の思い出の一歩を、口にした。







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