【完】千鳥の舞う花火。








「いいのか?」


「いいさ、友達の門出だ。……最後ぐらい、綺麗なものを見せてやりてえ。」




篤司が突き出した拳に、明と隼人が拳をぶつけた。


そして俺の前に伸びて来たその拳に、俺も拳をぶつける。



それだけで、心が一つになった気がする。




「派手に行こうぜ!!」


「「「おう!!」」」






本当は、涙が零れそうでヤバかった。



篤司の言った“門出”は、


この世からあの世への、新しい生活と長旅。



……同時に、二度と会えない、死との対面。





「……陽が沈むな。」


「……あぁ。」




茜色に染まっていく青空。


カラスの鳴き声が響く夕暮れ。


隣に出来る自分の影。




最後


最後の、思い出。








< 96 / 121 >

この作品をシェア

pagetop