【完】千鳥の舞う花火。
「昴、花火って……?」
何も知らない千鳥は未だに、首を傾げてハテナを思い浮かべる。
その様子が何だか可愛くて。
俺はソッと、その華奢な体を引き寄せた。
「す、昴……?」
「……あったけえな。」
暖かい。
人の、体温。
「昴くん……今日は、ありがとう。娘の為に……。」
隣で見ていた真耶さんの旦那さん……つまり、千鳥の父親が頭を下げてそう言う。
佐倉正利(さくら まさとし)さん。
仕事で忙しい人だから、あまり話したことは無いけれど。
何度か、顔だけは合わしたことがあるから知っている。
千鳥の男勝りな性格は、思いっきり正利さんからの遺伝だ。
勿論、泣き虫なのは真耶さん似。