【完】千鳥の舞う花火。
そんな二人の間に生まれた、たった一人の娘……。
「お父さん……?」
「千鳥……。」
正利さんはギュッと強く、俺とは反対側から千鳥を抱きしめた。
その抱擁の強さが、俺にまで伝わって来る。
「すばるーーっ!! 上げるぞーっ!!」
「おう!!」
明の掛け声を始めとして。
フィナーレは開幕する。
「……千鳥、愛してる。」
ドーーーーン!!!!
俺のその声は、千鳥の小さな耳に、届いただろうか。
打ち上がった花火を目の前に、千鳥は大きな目をパチパチとさせ。
ただ暗い空に打ち上がる、
色とりどりの花を、
ジッと見つめていた。