肉食系赤ずきん―彼女は獲物を捉える―
一方その頃
狼さんは大慌てでおばあさんの家に向かっていましたが、その途中で悪寒を感じてぞくりと身震いしました。
(な、何だろ…)
しかし気になったものの、おばあさんの家が視界に入り悪寒の存在を忘れてしまいました。
狼さんはおばあさんの家に辿り着くと、スーハーと深呼吸をし、意を決してトントンと戸を叩きました。
「はい、どなた?」
「赤ずきんよ。お見舞いに来たわ。扉を開けて」
赤ずきんちゃんの声真似をして狼さんは戸を開けてもらうように言います。
「とってを押して入っておいで。私は今起きられないんだ」
おばあさんの言う通りにすると簡単に戸は開きました。
狼さんは急いでおばあさんの寝ているところに向かい、家の中にあったガムテープで口を覆います。
そしておばあさんを何故か家の中にあった縄で両手両足を縛り、クローゼットの中に入れました。
「んー!んー!」
「ご、ごめんなさい、おばあさん! 用が済んだら直ぐに出すからそれまで大人しくしててっ」
あまりにも申し訳なさそうな顔で狼さんがいうので、おばあさんはそれならしなければいいのに…、と思いましたが口を塞がれているので出来ません。
狼さんはクローゼットの中に入っていた服を着て、ずきんを被るとクローゼットを閉めました。